交通事故による頭や首への衝撃によって、めまいやふらつきが生じることは珍
しくありません。しかし、ほとんどの場合、1ヵ月以内に治ります。
交通事故後のめまいとして最も頻度が高いのは、「良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい症」です。内耳(ないじ)に存在する耳石(じせき)が半規管(はんきかん)内に入り込むことによって生じると考えられています。寝たり起き上がったりお辞儀をしたりといった動作によって回転性のめまいが生じます。これらのほか、内耳の外リンパが中耳(ちゅうじ)に漏出する「外リンパ瘻(ろう)」や、頸椎(けいつい)の靭帯(じんたい)・椎間板(ついかんばん)・関節包(かんせつほう)・筋肉・筋膜の損傷によって生じる「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」(いわゆる、むち打ち症)、さらに、強い頭痛や吐き気も認められる場合には「脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症」も念頭に置いておく必要があります。また、事故による不安や精神的ストレスはめまいの増悪因子となります。 |