交通事故による頭や首への衝撃によって、めまいやふらつきが生じることは珍 しくありません。しかし、ほとんどの場合、1ヵ月以内に治ります。 交通事故後のめまいとして最も頻度が高いのは、「良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい症」です。内耳(ないじ)に存在する耳石(じせき)が半規管(はんきかん)内に入り込むことによって生じると考えられています。寝たり起き上がったりお辞儀をしたりといった動作によって回転性のめまいが生じます。これらのほか、内耳の外リンパが中耳(ちゅうじ)に漏出する「外リンパ瘻(ろう)」や、頸椎(けいつい)の靭帯(じんたい)・椎間板(ついかんばん)・関節包(かんせつほう)・筋肉・筋膜の損傷によって生じる「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」(いわゆる、むち打ち症)、さらに、強い頭痛や吐き気も認められる場合には「脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症」も念頭に置いておく必要があります。また、事故による不安や精神的ストレスはめまいの増悪因子となります。
最も重要なのは問診です。交通事故が起こったときの状況、めまいの性状・持続時間、めまいが起こるきっかけや増悪因子、随伴症状(頭痛、吐き気、首 の痛み、難聴、耳鳴り)などです。これらに関するメモ書きを持参すると診察の際にスムーズに話すことができます(参考:めまいセルフレポート)。 めまいがあるととても不安になります。そういった不安感もきちんと主治医に伝えましょう。 問診の結果、上述した良性発作性頭位めまい症が疑われる場合には、頭位の変換によって生じる眼球の動きを観察するために眼振(がんしん)検査を行います。また、外リンパ瘻が疑われれば、CTのほか、聴力検査や耳に圧力を加えることによって眼振が誘発されるかどうかをみる瘻孔(ろうこう)症状検査が必要になります。外傷性頸部症候群や脳脊髄液減少症の診断には、頭や首のMRIおよびMRA、脳槽(のうそう)シンチグラフィーなど画像診断が必要になることがあります。