Q1 | 小児のめまいにはどのような種類があるのですか? |
A1 | めまいの原因は多種多様です。内耳・前庭神経の障害による 末梢性めまい、脳が原因となる中枢性めまい、さらには全身の異常から生じるめまいがあります。その一方、原因が不明で診断が確定できない場合もあります。(参考:めまいの原因を探ろう) |
小児に発症しやすいめまい疾患にはいろいろな種類がありますが、年代により多少異なります。乳幼児期(6歳まで)にはてんかん、内耳(ないじ)奇形、小児良性発作性めまい、脳腫瘍、急性小脳失調症、髄膜炎などが比較的多くみられます。学童・思春期(7〜15歳)には起立性調節障害が最も多く認められますが、心理的な要素や片頭痛が関連することもあります。その他、年代に区別なく、外リンパ瘻(ろう)や先天性真珠腫、ウイルスによる内耳炎、前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)などの疾患も考えられます。また、めまいとは関係がなく、景色やものが動いてみえるなどを訴える場合には先天性眼振(がんしん)が疑われます。 |
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Q2 | 病院ではどのような検査をするのですか? |
A2 | 年齢に応じて平衡機能を調べる検査が行われます。工夫をするとたいていの検査は4、5 歳から行うことが可能です。 |
まず、眼や体の動きを観察する眼振(がんしん)検査や体平衡検査が診察時に行われます。次に、耳のなかに冷水や温水をいれる検査(温度刺激検査)や椅子に座って体を回転させる検査、聴力検査で内耳の働きに問題がないか調べます。また、動く指標をみる検査や脳波検査によってバランスに関わる脳の働きも調べます。内耳や脳に器質的な異常(奇形、出血、腫瘍など)がないか調べるためにCTやMRI、MRAなどの画像検査も行われます。さらに、全身の病気が関わることがあるので血圧や血液検査などの全身検査も必要に応じて行います。 |
Q3 | 起立性調節障害とはどのような病気なのですか? |
A3 | 自律神経の機能障害が原因で学童期・思春期におこりやすいといわれております。 |
心理的問題を有することがあるので、学校生活や家族関係にストレスや不安がないか確認することが大切です。症状としては、起立した直後に目の前がまっくらになったり、しばらくたってからふらついたりします。(参考:起立性低血圧)時折、失神して転倒することもありますので注意が必要です。他に、倦怠感や食欲不振、頭痛、腹痛などが日常から伴うことがあり、とくに午前中や入浴後に調子が悪く、いやなことを見聞きしたりすると気持ちが悪くなるなどの特徴があります。症状が軽いときは自然に改善することが多いですが、症状が重く長引くと薬物治療や心理療法を受ける必要もあります。 |
Q4 | 母子ともにめまいを起こしやすいのですが、めまいは遺伝しますか? |
A4 | めまい自体は遺伝病ではありませんが、めまいが生じる病気のなかで遺伝が関係するものがいくつかあります。 |
少量のアミノ配糖体の抗生物質による内耳(ないじ)障害や神経線維腫U型(しんけいせんいしゅにがた)、前庭水管拡張症(ぜんていすいかんかくちょうしょう)は遺伝することで知られ、めまいを引き起こす可能性があります。 |
Q5 | 3歳になる子供がよく転ぶのですが、めまいと関係がありますか? |
A5 | この頃の運動能力には個人差があります。 |
この頃の運動能力には個人差があります。単に運動・バランスの発達が遅れているのかもわかりません。その場合には成長とともに徐々に改善されますので心配の必要はありません。しかし、転びやすいと訴える病気もあります。一定方向への転倒は、同側の内耳(ないじ)や前庭神経(ぜんていしんけい)の障害が考えられます。また、内耳奇形や小児良性発作性めまい、てんかんでも立っているのが不安定となり倒れることがあります。その他、脳腫瘍の初発症状としてよろめいて歩いたり、転びやすいこともありますので、注意を要します。 |